はじまりの記憶 杉本博司
- 2012/05/15 22:35
- Category: 現代アート
払った料金の元を確実に取れるのは間違い無いという太鼓判を押したくなる映画だった。美術家杉本博司の(だいたい)全てがわかるという実に便利な一本である。普通の人にとっては、ひょっとしたら動いている杉本博司を一生分見てしまうことのできる贅沢な機会といえるかも知れない。熱心なファンとまではいかない自分でも、結構この作家さんの作品を見ていたのだということが分かり、逆にちょっと驚いたところでもある。それだけ美術というフィールドにおいて、押さえなくてはいけないと思わせる作品の力があったのだろう。俯瞰的に業績を見渡すことの出来る撮り方になっていることもさることながら、南方熊楠の再来とでもいわんばかりの知の巨人としての杉本博司といった説得力に溢れる話の展開には圧倒されてしまう。しかしながら、その説得力の源泉となっているのは、やはり写真を起点として貪欲に知の情報を吸収し続ける作家本人の姿勢だろう。その姿勢には謙虚に学ばなくてはいけないと思わせてくれる。とはいえ、そのように振る舞えるということに対し、我が身を振り返ってみれば、羨望とともにため息しか出なかった。また、下世話な視点からもなかなかに楽しめる作品である。ニューヨークと東京にある自宅など、世界的な美術家が一体どんな生活環境なのかということを考えずにはいられないような、一般人の想像を遙か上に行く世界を覗くことができる。こちらについても、我が身を振り返ってみれば、羨望とともにため息しか出なかった。
ただ、ナレーションは高校野球の地方大会の出場校を追ったドキュメンタリーのようなものに感じられてしまい、作品の内容と比較して少々安っぽいような気がしなくはない。また、浅田彰の出演はどの様な意味があったのだろう。「ノルウェイの森」の冒頭に登場していた糸井重里と良い勝負だと思う。
シアター・イメージフォーラム
はじまりの記憶 杉本博司
2012/03/31 -
関連記事
杉本博司 ハダカから被服へ(12/05/06)
Hiroshi Sugimoto: Five Elements(12/05/01)
横浜トリエンナーレ2011 横浜美術館編(11/08/15)
ただ、ナレーションは高校野球の地方大会の出場校を追ったドキュメンタリーのようなものに感じられてしまい、作品の内容と比較して少々安っぽいような気がしなくはない。また、浅田彰の出演はどの様な意味があったのだろう。「ノルウェイの森」の冒頭に登場していた糸井重里と良い勝負だと思う。
シアター・イメージフォーラム
はじまりの記憶 杉本博司
2012/03/31 -
関連記事
杉本博司 ハダカから被服へ(12/05/06)
Hiroshi Sugimoto: Five Elements(12/05/01)
横浜トリエンナーレ2011 横浜美術館編(11/08/15)




